No.35 2009年12月20日
神は我々と共におられる
牧師 石田 透
クリスマスおめでとうございます。共にイエスさまのお誕生を喜び祝いましょう。
クリスマスは言うまでもなくイエス・キリストの誕生日です。普通誕生日にはその人のためにお祝いのパーティーを催し、その人にプレゼントを贈ります。誕生日の喜びは誕生日を迎えたその人のためにささげられます。しかしクリスマスは一味違います。クリスマスの喜びというのはイエスさまのためにささげられるのではありません。クリスマスの喜びはイエスさまを通して神さまが私たち一人一人にたまわったものです。私たち人間にとっての大いなる喜びなのです。
「神は、その独り子をお与えになったほどに、世を愛された。独り子を信じる者が一人も滅びないで、永遠の命を得るためである」 (ヨハネ福音書3:16)
神さまは私たち一人ひとりの罪の救いのために大切な独り子であるイエスさまをこの世に送ってくださいました。その方は赤ちゃんの姿をとってこの世に来られました。その赤ちゃんはすべての人のために来られたのです。そのことへの感謝、喜びがクリスマスを迎える私たちの喜びなのです。
イエスさまは神の子には不似合いな家畜小屋で生まれたと聖書に記されていますが、このことこそが、御子が人間の弱さや貧しさの世界に誕生したという事実の象徴なのです。神さまが弱さや貧しさと共にいてくださるというしるしなのです。そして、イエスさまが生涯を通して悲しみや苦しみ、弱さや貧しさを負って必死に生きている人間と徹底的に共にいてくださるということのしるしなのです。
イエスさまの誕生は旧約の予言、「インマヌエル」の現実化でした。イエスさまは三十余年の生涯を実に人間と共に、また人間のために歩まれ、十字架へと進んで行かれました。そのイエスさまの物語は単に二千年前に終わった物語ではありません。イエスさまは弟子たちへの決別説教でこう語りかけられました。
「わたしにつながっていなさい。わたしもあなたがたとつながっている。」 (ヨハネ福音書15:4)
このイエスさまの言葉は今日も私たちに語りかけられているのです。神さまが共にいてくださるということ。イエスさまが私たちとつながっていてくださるということ。それが私たちの喜びなのです。
「神は我々と共におられる」これこそがクリスマスの喜びです。神の御子は高き天から地上の貧しき家畜小屋の中に降り給うて、飼い葉桶の中にすやすやと眠られるのです。私たち人間が生きるこの地上をイエスさまご自身の生きる場所とされるのです。それが私たちの神の姿なのです。
クリスマスを迎え、神さまの愛を一層深く感じていたいと願います。不安の中にあったマリアは「主があなたと共におられます」という天使の言葉を聞きました。ヨセフも「神は我々と共におられる」という言葉を聞きました。それらの天使の言葉は二人を前に向かって押し出しました。私たちの生の営みの中にも悲しいことや苦しいことが繰り返し訪れます。しかし、神さまは私たちを決して見捨てません。「神は我々と共におられる」という励ましの言葉を受け、私たちもまた前に向かって歩んでいきたいと思います。